血液型 による性格の違いを書いた本がベストセラーになった。 科学的名根拠に乏しいのに、多くの日本人が、血液型 と性格に関係があると信じているのはなぜか?
・読者の共感
2008年は血液型 に沸いた年だった。 きっかけは「B型自分の説明書」など、血液型関連本の大ヒット。
出版元の文芸社によると、累計の販売部数は「B型」が165万部、「O型」148万部、「A型」135万部、「AB型」92万部で、4冊合計で540万部。
4冊とも、08年の年間ベストセラーの10位以内にランクインした。
B型の本を開くと、「集団行動の中で一人だけフラフラ散歩したりする」 「右と言われれば左と言う。 それが基本」など、B型の人の性格を示す文章が並ぶ。
自分に当てはまる項目に印を付けていくと、自分についての説明書が完成する、という仕組みだ。 出版科学研究所の研究員は、「従来の血液型 関連本のような占いの本ではなく、自己啓発本に近い。
当てはまる項目だけを選ぶので、読者の共感を得やすかったのでは」と分析する。 著者は、まず自分の血液型である「B型」本を作り、07年9月に自費出版で1000部出した。
これに山形県内の書店の「B型」の店員が着目、多めに仕入れて並べ始めた。 「おもしろい」 「当たっている」と徐々に話題になり、テレビ番組でも紹介されてブームに火がついた。
「B型以外も出して」という要望が殺到し、他の血液型の説明書も出した。
シリーズを担当した文芸社の第2編集部編集長によると、送られてきた愛読書カードの75%~80%が女性。 年代別では10~20歳代が65%。
読者は若い女性が中心だ。 「自分の血液型 の本を買う人が多いですが、自分以外の血液型を買う人もいました。 対人関係の処方箋として使われたようです」
編集長自身は、「血液型と性格の関係に、科学的な根拠があるかはわからない」と笑っていた。

・赤血球の構造
AOB式の血液型は、赤血球などの表面にある「糖鎖」という物質の違いで決まる。
糖の分子が鎖のようにつながった物質で、赤血球の細胞の表面にひげのように突き出しており、細胞同士が情報をやり取りするのに使われる。
この糖鎖の種類がAだけの人がA型、Bだけの人はB型だ。 AB型の人はAとB両方の種類の糖鎖を持つ。
逆に、O型はAの糖鎖もBの糖鎖も持っていない。 どの種類の糖鎖を持つかは遺伝子で決まる。
赤血球の表面の構造の違いが、なぜ性格の違いにつながるのか。 その因果関係を科学的に示した論文はあるのだろうか。
富山大学人間発達科学部の村上教授(認知心理学)は、「戦前までさかのぼって関連の論文や書籍を調べたが、血液型性格の関係を科学的にはっきり示したデータは存在しない」言い切る。
大村日本大学名誉教授(心理学)は、血液型関連本から選んだ血液型別の性格に、わざと別の血液型のラベルを付けたうえで、約60人の学生に自分の性格に近いものを選ばせたことがある。
その結果、学生の9割は、自分の血液型のラベルが付いたものを選んだ。 大村さんは「血液型本の性格診断がアテにならない証拠」と考えている。
(5月24日付け読売新聞「サイエンス 学び 血液型の性格 上」より抜粋)
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