【問い】 「若い人が恋愛をしなくなった」といいます。 若い男女を対象に消費活動などのマーケティング調査をし、「独身王子に聞け!」や「20代・ハッピー☆パラサイトの消費のチカラ」を書いていますが、実感はありますか?
【答え】 あります。 スタッフの協力も得て、20代から30代の数百人に対面調査をしていますが、最近は、「彼氏」や「彼女」のことが話しになることが少ないです。
うちの会社は30代の女性が中心ですが、みんな「こんなにさめているんだ」と驚いています。 出会いがないとか、つき合っていないというデータも見ます。
一例が十文字学園女子大の学生たちによる首都圏の学生や専門学校生の調査です。 つき合っている相手が「いない」と答えた人は約7割、過半数がつき合うのは「面倒」と答えています。
私はバブル世代です。若い頃は恋愛のことばかり考えていた。 デートはすべてに優先される、です。 でも今は、デートと仕事が重なったら仕事を優先する、という答え方がはるかに多い。
浅く広い間柄に
【問い】 何が変わったのでしょう?
【答え】 一つは景気です。
独身男性60人に対面調査した時、約7割の人が「山一ショックが大きかった」と話していました。 山一證券のような大会社でもつぶれる、だから彼女より仕事、なんです。
特に就職時期がバブル崩壊後の不景気真っ只中だった、団塊ジュニア(31~36歳)には影響が大きい。
もう一つは、そもそも彼らのコミュニケーションのレベルが浅いこと。 人と深くかかわりたくないんですね。
特に、20代はポケベル、プリクラで育った世代です。 ツールを使い、浅く、広くつながることに慣れている。
だから、2人だけになっても、話題はブログのこととか洋服のこととか。 これってつき合っていると言えるのかな、と思ってしまいます。
【問い】 恋愛を「しない」のでしょうか? 「できない」のでしょうか?
【答え】 団塊ジュニア世代は結婚を考え、恋愛をしたいと思っている。 でも、どうしたらいいかわからない。
恋愛する自信がない、という人も多いですね。 男性は、いいなと思う人がいても自分から誘うのはハードルが高いという人も少なくありません。
断られたら傷つく。傷つくのは怖い、立ち直れそうにない、と。
【問い】 では、女性の方から誘っては?
【答え】 それは無理でしょう。 最初は男性から声をかけてくるもの、という思いは今も根強いです。 男性は声をかけられない。 女性は受身のまま。 だから恋愛が始まらない。
【問い】 20代はどうですか?
【答え】 男性・女性という感覚が薄い印象がありますね。 たとえつき合っても、行動は友だちと一緒。 恋人より友だちの方が浅く長く関係を続けられる、と考えている。
だから2人だけのラブラブにならない。 クルマも以前のような2シーターが売れず、7人乗りや8人乗りのミニバンが売れるでしょう?
恋愛の必需品だったクルマが、今はみんなで移動する道具なんです。 つき合いが始まるかもしれないのに、うまく出来ない人も少なくない。
好きな女性が携帯の番号を教えてくれた。 思い切ってかけた。 でも女性はたまたま仕事が忙しくて出られなかった。
すると、ああ、だめなんだなって思って、もうかけない。 簡単に引いてしまう。 全体に何かに挑戦するパワーが下がっているように思います。
20代って一番いろいろな恋愛ができる時なのに。 恋愛しないのは、個人にとってもこの国にとっても大きな損失。 もったいない。
陣内モデルは?
【問い】 どうすれば?
【答え】 例えば「陣内モデル」はどうでしょう。 藤原紀香さんと結婚したお笑いタレントの陣内智則さんおことです。
彼は紀香さんに男性がいるかいないか、知らなかったのでは。 知らないまま声をかけてみたら、たまたま空いていた。
「自分じゃ無理」なんてことも(たぶん考えなかったのでしょう。 それで、みんながびっくりするような恋愛と結婚を手にしたわけです。
失敗したっていい。まず声をかけて欲しい。 すべてはそこから始まります。
【問い】 一方で、一人よがりの感情にのめり込んでしまう若者も少なくないと、心配していますね。
【答え】 今の若い世代には「格差社会」とか「年収○○万円時代」とか、暗い情報ばかりが入っています。
そんな中で、彼ら自身も仕事や将来など、いろいろなことに自信がもてない。 だから誰かを思いやる余裕がないように見えます。 でも、そのままの感情を押し付けないで欲しいのです。
今の時代、相手だって余裕が無いことも多い。 これから若い人たちに求めたい恋愛は、「もたれ合い」型ではなく、「支え合い」型です。
まずは、相手が何を不安に感じているのか、相手とじっくり対話できる機会を作っては。 そこからすべては始まると思うのです
(答え手: マーケティングライター牛窪恵さん )
(1月21日付朝日新聞「今年の予習」より)
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