福岡国際3位の佐藤選手、800メートル出場目指す妻の支え感謝
最後の直線、夫は結婚 指輪にキスをした。
◇北京五輪代表選考会を兼ねた12月2日の福岡国際マラソンで、佐藤敦之選手(29)=中国電力=が3位に入り、代表の有力候補に踊り出た。
力走を支えたのは妻で女子800メートル日本記録を持つ美保さん(29)。
「2人で北京へ」。新婚さんは夢に一歩近づいた。 福岡市の平和台陸上競技場の歓声が大きくなった。
「頑張った証しを、ああいう形で残してくれました」。 7月に 結婚 した美保さんは、指輪のキス に声を震わせた。
福島・会津高から早大に進学し、期待されたが、考えすぎる性格が災いし、2003年世界選手権に出ても10位に終るなど脱皮しきれなかった。
結婚 は転機になった。 「怖い顔をしていたのが、笑顔でいられるようになった」。
10月の世界ロードランニング選手権(イタリア)でハーフマラソンに日本記録を更新。 上り調子だった。
チームの本拠は広島県。 福島県で練習する美保さんとは別居だが、今回は美保さんが大会1週間前に広島入り。
シチューなど手料理を堪能してリラックスした。 レース中も給水ボトルに「自信を持って」などと、ひとこと書いて後押しした。
「『私の敦之は強い』と励ましてくれた。美保はいつも堂々としていて、逆に僕はおどおど。夫として先にいいところを、と思って」と、佐藤選手は照れ笑い。
美保さんには快走の予感があった。 レース直前になるといつも緊張で険しくなっていた顔に、余裕があふれていたからだ。
指輪の裏側には「お互いの力になれるように」との意味を込めた黄色い石が埋め込まれている。
「敦之がこんな大きな事をやってくれた。次は私の番。800メートルで出られるよう頑張ります」と美保さん。
夫は晴れやかな笑顔で観客席に近づいてきて、手を取り合った。 (渡辺崇)
(12月3日付け朝日新聞 社会面より)
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