◆年功序列制度の崩壊と成果主義の導入など労働環境の大きな変化にさらされ、「受難の世代」と言われる 30歳代 を対象に実施した、読売新聞社のインターネット調査で、「仕事の将来に不安を感じている」人は「大いに」「多少は」を合わせて82%に上った。
一方で、結婚 や正社員といった既存の概念に必ずしもとらわれずに、新たな生き方を模索する動きもうかがえた。
今の意識を探った。
(5月14日付読売新聞「30歳代ライフスタイル」 ネット調査より)
◆30歳代 が「受難の世代」と言われるのは、バブル崩壊によって、終身雇用・年功序列制度が崩れ、成果主義の導入、派遣・契約社員の増加など労働環境の変化の波に直撃されたためだ。
また、30歳代 後半の人は「超売り手市場」の中で社会人となったが、30歳代 前半の就職時は一転して氷河期となり、30歳代 でも前半と後半では意識に大きな違いがあるとされている。
この「受難の世代」との指摘について、30歳代 の68%が「そう思う」と答え、「そうは思わない」は計30%だった。
「そう思う」は、自身が「バブル期入社組」という人では計50%だったが、「就職氷河期組」という人は計80%に上った。
また今の 30歳代 は「仕事を巡る厳しい現状から、家庭生活や自己実現を大事にする人生設計を模索し始めた最初の世代」(第一生命経済研究所副主任研究員)との指摘がある。
この指摘について、「そう思う」は計67%だった。
職種別では、臨時・契約・派遣社員では計80%、会社などの正社員で計65%、公務員で計45%に上った。
◆仕事のストレス
・収入が増えない 64%
・会社や業界の将来性、安定性に不安がある 34%
・人間関係がうまくいかない 30%
・勤務時間が長すぎる 29%
・任される仕事が多すぎる 28%
・自分の仕事をきちんと評価してもらえない 28%
・休みや家族との時間が十分に取れない 25%
・自分の経験や能力が仕事にあっているか分からない 19%
・いつまで雇ってもらえるか分からない 19%
・任される責任が重過ぎる 18%
(複数回答)
◆今回の調査では30歳代が仕事について、将来の
不安やストレスを抱え込んでいる様子がうかがえた。
「自分の仕事の将来に不安を感じている」人は計82%だった。
職種別では、臨時・契約・派遣社員で計91%に上った。
正社員でも計86%で、公務員は計73%だった。
「仕事でストレスを感じている」という人も計82%。職種別では、公務員が計90%と最も高く、正社員が計84%、臨時・派遣社員は計81%だった
ストレスを感じている人の原因では、「収入が増えない」「会社や業界の将来性、安定性に不安」「人間関係がうまくいかない」に次いで、4位は「勤務時間が長すぎる」、5位は「任される仕事が多すぎる」だった。
職種別の特徴として、臨時・契約・派遣社員の2位に「いつまで雇ってもらえるか分からない」、正社員の3位に「勤務時間が長すぎる」が入ったことがあげられる。
◆長時間労働
30~34歳男性で週60時間以上働く人は18.9%(1994年)から22.7%(2004年)に35~39歳男性も19.1%から24.0%に増加。
(労働経済白書)
◆「心の病い」が集中
「30歳代に『心の病い』が最も多い」と企業の61%が回答(2006年)。
2004年に比べ12ポイント増加。
(社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所アンケート調査)
◆転職に前向き
「転職は避けた方がよいか?」の質問に対しては「そうは思わない」が計53%で、
「そう思う」の計41%を上回った。
労働環境の変化の荒波を受け、一つの会社で働き続けることにこだわらず、
転職を前向きに捉える人が多いようだ。
「正規社員と非正規社員との所得格差を感じているか?」では、「感じている」人が計76%で、「格差が今後、さらに広がっていく」と見る人はさらに多く、計81%に上った。
特に臨時・契約・派遣社員では「現在、格差を感じている」が計90%、
「今後、広がっていく」も計89%だった。
ただ、臨時・契約・派遣社員のうち、「正社員になりたい」という人は
計62%で、計33%は「なりたくない」と答えた。
長時間労働に厳しいノルマというイメージがある正社員に、
必ずしもなりたいという人ばかりではないようだ。
◆人材コンサルティング会社社長 城繁幸さん(33)
30歳代 は、もともと人生のターニングポイントにあるが、現在の30代、特に会社員は「ポスト年功序列制度」の波を最初に受けていることが特徴的だ。
バブル世代は、「超売り手市場」で入社したが、年功序列の崩壊に直面し、定期昇給が止まる人も増えた。
氷河期世代は入社当時から成果主義にさらされている。転職の相談に来る人は、そろって「将来性、安定性が不透明だ」と言い、会社、業界の将来が見通せなくなっている。
「団塊の世代」は企業社会の改革に取り組まず、非正規雇用者を増やしただけだった。
40歳代半ば以上は、年功序列で乗り切れそうだ。だが、30歳代 はそうはいかない。
30歳代の世代の苦悩はそこにある。(談)
(5月14日付読売新聞「30歳代ライフスタイル」ネット調査より)
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