■回数の問題
◆アメリカでは、夫は妻に毎日「愛してる」と言わなくてはならないらしい。日本の夫は違う。
理由は人によって、「<愛している>という不自然な日本語は使いたくない」 「正直に生きたい」 など色々だが、多くの夫の考えはこうだ。
「結婚式の時に神前で誓った通りです(何を誓ったかは思い出せませんが)。この誓いは変更の届けを出さない限り有効です。右、相違ありません」
女はこういう態度が許せないらしい。学生に女の気持ちを語ってもらった。
以下はその内容である。
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◆私は時々「わたしってきれい?」と彼に聞きますが、これは自分の美しさに疑問を持っているからではありません。
「きれいだよ」以外の答えがあるとは想像もしていません。それでも彼にたずねるのは、私のきれいさを思い出させるためです。
自分の子供に名前を覚えさせる時に「あなたのお名前は?」と聞くのと同じです。
先日、「このセーター似合う?」と彼に聞きました。 「私、きれい?」というのと同趣旨の質問です。
すると彼は「昨日言っただろう」と彼は答えました。
これには腹が立ちました。
「似合う?」と聞かれたら答えは「うん」しかありえません。
私は「五次方程式の解は?」という難しい質問をしているのではなく、「うん」ですむ間違えようのない簡単な質問をしているのです。
なぜ「昨日言った」というありえない間違い方をするのでしょうか。底知れないバカです。
私が「1回言えばすむってもんじゃないのよ」と教えると、バカ男は「じゃあ何回言えばいいんだ?」と聞いてきました。
人間はどうしてここまで愚かになれるのでしょうか。
「そんな問題じゃないでしょう」とたしなめると、彼は「でも1回ではダメなんだろう?百回言えばいいのか?」とたずねました。
殴ってやろうかと思いました。
「回数を問題にするのが間違いなのよ」と答えると、バカ男は「君が一回ではダメだと言ったんだ。回数を問題にしたのは君だ」と言い返しました。
絞め殺してやろうかと思いました。
怒りを抑えて「かわいい子犬を飼っていたら毎日<かわいい>と言うでしょう?何回言えばいいかという問題じゃないのよ」と噛んで含めるように説明すると、彼は「でも、おれが小学校で学級委員になったことがあると何度か言ったら、君は1回言えば十分だと怒ったじゃないか」と反論した。
くだらない自慢は1回でも多すぎることがなぜ分からないのでしょうか。
わたしが武士なら叩っ斬っていたところです。
では男はどうすればいいのでしょうか。男は何も聞かれなくても「似合うね」と毎日言い続けなくてはなりません。
しつこく続けると、わたしもうるさく思うようになって、ついには「もう言わなくていい」と言うようになります。
ここで勘違いしやすいのですが、わたしがそう言っても、ホメるのをやめてはいけません。「いや~似合う!言うまいとしても、つい言ってしまう」と言わなくてはいけません。
次に会った時も手をゆるめず、ホメ続けなくてはなりません。
わたしが「もう言わなくていいと言ったでしょう?」と迷惑そうな顔をしたら、「ごめん、しつこいよね。でもどうしても言ってしまうんだ」と答えてください。
これを会うたびに繰り返します。最低でも 5回 は続けます。本当に迷惑そうな様子になったら、さらに 5回 続けます。
これだけやれば、問題が起こるのを3分の1に減らすことができます。
確実を期するなら、新しい服かどうかに関係なく 毎日ホメ続けてください。
(週刊文春1月25日号 土屋賢二・著 「ツチヤの口車 491」より)
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