◆ 難 婚 世 代
◆年収合わないなら結婚しない
女性 34歳 東京都 派遣社員
<理想の結婚相手>年収1千万円以上。最低でも正社員。
世田谷の閑静な住宅街に住んで、専業主婦になって、子どもには海外留学をさせて、休みは家族で旅行に行って・・・。キヨミさんは、こんな結婚生活を思い描く。
現実は、会社と自宅を往復する毎日だ。データ入力の作業が中心で、連日午後8時ごろまで働く。正社員並みに働いてもボーナスはなく、手取りは月20万台前半だ。
家賃4万7千円の1Kで一人暮らし。30歳を過ぎ、男性社員から「彼氏は?」と軽口を叩かれることもなくなった。
3年前、キヨミさんは、友だちのように 恋愛の相談 ができた母を亡くし、一人になった。
「いい人がいたら寂しい思いをしないで」
母の残した手紙を読むたび、結婚を強く思う。父と暮らしたのは小学生まで。背が高くてキリッとした石原裕次郎のようなイメージが残っている。
離婚後も母は、「お父さんは仕事のできる人だった」と褒めていた。だから 結婚相手 も、フリーターやニートは絶対にあり得ない。
それなら、孤独でも1人で生きていく方がいい、とキヨミさんは思う。1昨年の夏、結婚情報サービスに入会した。
「医師・歯科医、東大早慶卒、年収1千万円以上のいずれか」と男性を限定したコース。入会金は、男性は5万円前後、女性は30万円前後かかる。
3ヶ月悩んで、貯金をはたいた。
「自分の力だけでは年収500万も無理。結婚は、豊かな生活へジャンプできる大きなチャンスだと思う」
有効期限は、後半年に迫っているが、理想の結婚相手 はまだ現れない。
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◆結婚しない、結婚できない男女 が増えている。
2005年の国勢調査によれば、30~34歳の未婚率は男性47.1%、女性32.0%でどちらも10年前より10%前後増加した。
非正社員男性の結婚率は正社員の約半分だという調査結果もある。
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◆趣味、合わないなら結婚しない
男性 31歳 横浜市 契約社員
<理想の結婚相手> 趣味を認めてくれる人。それが最大の条件。
自宅アパートのコタツに座れば、手が届く距離に、何体ものフィギュア(人形)が並ぶ。枕元には300冊の同人誌や漫画が積み上がる。
この運送会社の契約社員は、「アキバ系オタク」を自認する。眼鏡をかけたキャラクター「メガネっ娘」のブログや同人誌までつくる趣味の充実ぶりと裏腹に、実生活は厳しい。
夜勤仕事の契約は半年更新で、月収は手取り15万円を切る。大学院で研究職を目指したが、2年前に断念した。
オタク度が加速したのは、その頃からだ。両親は、息子の秋葉原通いを知らない。アパートの家賃6万円は、今も親が払っている。
父は昨年、定年退職した。母からは「早くちゃんとした就職をして」と頻繁に電話がかかる。年金生活になる親に、いつまで頼れるのか。
先の見えない不安を忘れられるのは、「オタク文化の聖地」アキバがあるから。月4度は通い、メード喫茶に1日に2、3回足を運ぶ。
学生時代は彼女もいた。結婚はしたいが、それほど強い願望はない。
「生身の人間はゲームと違って思い通りにならない。専業主夫になっても構わないけど、趣味は一切ダメと言われたら結婚は あきらめます」
40年後の自分。ヘルパー全員がメード服を着た老人ホームで、介護されている様子が目に浮かぶ。家族と一緒にいる自分の姿は想像できない。
雇用者の4人に1人が非正社員という世代。
男女の思い描く未来の姿が、まじわらない。
(1月8日付朝日新聞シリーズ「ロスとジェネレーション 25~35歳 7」より)
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