◆延びる余生・・・「添い遂げたい」10年で倍増
大阪府摂津市の武田栄一さん(63)と、妻の政子さん(64)は、2人初めての正月3が日を、栄一さんの自宅でテレビを見ながらゆっくりと過ごした。
「結婚式 は誰を呼ぼうか」
「なるべく多くの人に来て欲しいわ」
昨年末までには2人の自宅を車で往復し、政子さんの服や食器も運んでいた。
「年が近いから話しが合うし、自然に過ごせる」
2人は入籍4ヶ月余りの再婚者同士。挙式は3月だ。
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◆2006年1月、33年連れ添った栄一さんの妻が、約3年の闘病生活の末にがんで死去した。子どもに恵まれず、唯一の楽しみだった2人の会話がなくなった。
それからは、自動車整備の仕事を終えて帰宅すると、テレビもつけず、ただぼんやりとしているだけの毎日。
自炊が面倒になり、そのまま寝ることも度々だった。
「このままではおかしくなる」
孤独と不安の日々が半年続いた。そんな時、中高年向けの 結婚相談所 があることを新聞広告で知った。
「妻に悪い」とは思ったが、あまりの虚脱感に耐え切れず、出かけた。同世代の交流会で打ち解けることはできなかったが、帰りのエレベーターに乗り合わせた政子さんに、つい声をかけた。
「疲れましたな」
「ねえ」
「せっかくだから、コーヒーでも飲みませんか」
喫茶店で世間話をした後、車で来ていた政子さんが栄一さんを送ることに。自宅に寄った政子さんは、真っ先に仏壇に向かうと、妻の遺影に手を合わせてくれた。
「この人なら、死んだ妻も自分も、大切にしてくれる」
政子さんは18年前に離婚。独り身のまま、リース会社やスナックの経営など、仕事に没頭していた。
だが、60歳を過ぎて考えた。
「添い遂げる人が欲しい」
そこで出会った栄一さん。「根がまじめで私を真剣に思ってくれる。一緒だと心地よい」という思いが強まってきた。
いずれ、互いの介護も現実味を帯びるが、「今はただ、この生活を楽しみたい」という。

注: 写真は本文人物・新聞記事と関係ありません
◆中高年の離婚が増える一方で、熟年の再婚 も急増している。
2005年に 結婚 したうち、夫婦のどちらかが60歳以上の 再婚者 のケースは約1万900件。この10年でほぼ2倍になった。
中高年中心の 結婚相談所 (大阪市)の社長は、
「平均寿命が延び、パートナーに先立たれた人の一人暮らし生活も長くなっている。新たな 結婚生活 を望む人が増えているが、周りの人の理解を得られず、結婚 に至らないケースも目立つ」と指摘する。
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◆「誰かこの指に止まってくませんか=静岡県、68歳男」
福岡県内に住む由美子さん(66歳、仮名)は、インターネットの大手検索サイトの掲示板に目を留めた。
2003年に夫を亡くし、寂しさを紛らわすため、ネットを見るようになっていた。柔らかな言葉が気に入り、メールを送った。
相手は、2000年に妻を亡くした静岡県の隆さん(69歳、同)。
「数日、誰とも話をしないことがある。耐えられない」
最初は互いに警戒し、名前も伝えなかったが、隆さんはエンジニアで海外生活が長かったこと、由美子さんは民生委員をしていることなどを少しずつ明かしていった。
5ヵ月後の2005年秋、JR博多駅で初めて顔を合わせた。
「とても優しい」
「はっきり物を言う女性で新鮮」
会うのは月1回だが、メールと電話は毎日だ。だが、2人は「結婚 はしない」と言い切る。
隆さんは幼稚園児の孫に「おばあちゃんがかわいそう」と反発された。由美子さんも、2人の息子に打ち明ける勇気はない。
亡き伴侶の仏壇もそれぞれである。
「長年連れ添った妻は大事にしたい」
隆さんの考えに、由美子さんも賛成だ。しかし、会いたいという強い気持ちは、2人とも同じ。
「この ときめき は、いくつになっても変わりありません」
(1月5日付読売新聞シリーズ「ときめいていますか? 3」より)
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