「メールオーダー花嫁(通信販売花嫁)」をご存知だろうか?
1990年代、欧米先進国ではカタログやネットで花嫁を紹介する新しいビジネスが生まれた。
今ではネット上の結婚斡旋所を訪れると、さまざまな地域の女性の容姿や年齢をはじめ、身長、学歴、英語力、タバコや酒といった嗜好などもたやすくチェックできる。
結婚 を望む男性は手紙やメールを通じて交際を始め、最終的には男性が女性の国を訪れ、求婚に至るのが一般的だという。
「花嫁」の大半は旧ソ連やアジア、南米の女性たちである。旧ソ連のキルギスから米国ワシントン州に嫁いできたアナステージアさん(20)も、その一人。
お相手はシアトル郊外に住み、ベンチャー企業を営むと同時に会員倉庫会社に勤めるインドル・キング(44)である。
しかし、結婚生活はわずか1年で破綻し、2000年の9月、彼女は夫とその友人・ラーソン(25)によって絞殺され、ゴミ捨て場に放置された。
在米ジャーナリストが言う。
「すでに2002年、実行犯であるラーソンには懲役20年、犯行時に120キロ超の巨体で妻を押さえつけた夫のキングには懲役29年の刑が言い渡されました。が、今秋になってラーソンが無罪を主張し始め、改めて”メールオーダー花嫁”問題がクローズアップされているのです」
「花嫁は首都ビシュケク出身で、両親は揃って音楽教師。一人娘の彼女も音楽学校に進み、ピアノとジャズを専攻しています。長身の美人で、モデルとしても働いていました。一方のキングは、父親は著名な工業デザイナー、母親は大学教授という裕福な家庭で育っています。ワシントン大学を卒業し、さらにヒューストン大やシカゴ大でビジネスと金融を学んだ人物です」
二人は、1998年に”カタログ”を通じて知り合い、文通を経て、翌年にはキングがキルギスを訪問。短期間の交際の後、男性が両親の前で求婚し、結婚 にこぎつけた。
事件の原因は、キングによる暴行が絶えず、アナステージアさんが若いロシア人ビジネスマンと恋に陥ったことへの嫉妬だったが、キングには”前科”があった。
1993年に広告を通じて、米国での生活に憧れるロシア人女性と知り合い、結婚 するものの2年後に破局を迎え、1997年には正式に離婚している。
原因はやはりキングの暴力だった。

前妻は色白で、長いブルネットの髪、身長約175cmとモデル並みのスタイルと美貌が、キングの自慢だったという。
「統計はありませんが、メールオーダー花嫁が夫に虐待を受け、中には銃殺される事件さえ報道されています。そのため昨春に施工された連邦法では、入国する花嫁に対して、夫となる男性の犯罪歴について知らせることを義務づけ、また同じ男性が2年以内に二人目のフィアンセを入国させることを禁じました。斡旋業者はアメリカに300以上存在し、ある業者は”1年以内に必ず恋人を探します。成功率は約95%”と謳っています。紹介料は最低でも1850ドル(約22万円)。男性客は35~50歳の白人、高学歴で高所得の人が多いそうです」(同)
このシステムで花嫁を希望している男性は世界におよそ15万人。豊かさと自由を求めてアメリカに渡る花嫁は年に5000人と見られている。
モノ扱いされてポイと捨てられなければ、幸いだが・・・。
(11月23日付週刊新潮連載コラム「ワールドインシデント」より)
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