◆「息子が 結婚 するような感じです。12月16日は喜んで家内と二人で式に出るつもりです」と語るのは、「ベトちゃんとドクちゃん」が4歳の時から支援活動を続けている大阪健康福祉短期大学の藤本文明教授である。
ベトナム戦争で米軍が撤布した枯葉剤の影響と思われる結合双生児として生まれたのが、1981年。
それから、7年後、全世界の注目を浴びる中、ベトちゃんドクちゃんの分離手術がベトナムで行われ成功した。
当時の日赤医療センターから麻酔医として派遣された荒木洋二氏は振り返る。
「あの分離手術でゃ、二人のうち一人、または二人ともこの世を去るのではないかという不安を持ち続けていました」
兄弟は骨盤が一つで、大腸、直腸、腎臓、膀胱、肛門、性器を共有していたのだが、、兄のベトちゃんが急性脳症を起こしたことで、分離手術に踏み切ったのだ。
兄弟は現在25歳。弟のグエン・ドクさんは、1998年に、ホーチミン市のコンピュータ専門学校に進学。
脳障害で寝たきり状態が続く兄ベトさんと共に、市内のツーズ病院で暮らしながら、コンピュータを駆使してカルテの作成などの事務を行っている。
病院関係者は、
「ドクさんは、左足が無いのですが、車椅子で病院内を自在に動いていますし、急な電話の時など、松葉杖を使ったり、片足跳びで電話口に出ています。外出時は、三輪バイクを乗り回しています」という。
そのドクさんが、”いよいよ挙式” のニュースがベトナムのメディアを賑わせている。

お相手は、グエン・ティ・タイ・テュエンさん(24)。美人である。
服飾の専門学校を出て、現在は家事手伝いで、ネイルアートの勉強もしているそうだ。二人が知り合ったのは、2年前の友人の 結婚パーティー。
病院勤めの傍らドクさんが取り組んでいる身体障害者の支援活動や、貧しい子供たちを救う会の慰問に彼女を誘ったのだ。
その後交際に発展した。
二人の 結婚 について取材した現地の邦人記者は、
「ドクさんは”人の苦しみを積極的に理解しようとしてくれる”テュエンさんにひかれたそうです。一方、テュエンさんは”困難に直面しても前向きに生きようとする姿勢をみて 結婚 を決意した”と語っていました」
だが、二人の 結婚 までの経緯は、決して順調だったわけではない。
ドクさんは今年2006年7月、テュエンさんの誕生日にプロポーズしたのだが、テュエンさんの母親とおばさんが、「将来、子供ができた時に障害を抱えて生まれてくると大変」との理由で反対した。
しかし、ドクさんと数回会い、その誠実さに翻意したのだ。プロポーズから1週間説得を続け、ようやくテュエンさんの家族が了承した。
今後、ドクさんは現在住まいとしている院内の一室を出て、市内に新居を構える予定で、本格的な自立を始める。
子供については、「できたら、可愛い女の子がいい。仮に障害があっても、自分の血を引き継いだ子供が欲しいと、毅然とした態度で重い口を開いてくれました」(前出の記者)
一方で、荒木氏は、「精巣がどう機能しているのかわからないが、子供を作るのは難しいのでは」と、懸念を隠さない。
12月16日の結婚式には400人が参列し、日本からも100人が招待されている。
(週刊新潮11月16日号連載コラム「結婚」より)
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